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100話 現実逃避

last update Date de publication: 2026-09-11 11:48:02

「美緒!!」

私の横でそう叫んだのは翔太だった。一瞬だけ、歩き出したお爺様とお姉様、そして九条征哉が立ち止まる。けれどそのまま振り返る事は無い。しかも九条征哉の後ろには儚いほどの美男子まで付いている。

「待ってくれ! 美緒! 美緒なんだろう?」

そう言いながら翔太は後を追おうとした、けれど立ち塞がったのは岩本だった。

「七倉の大切なゲスト様です、お控えください」

そう言われて私はわなわなと震え、言う。

「どうしてよ! 何故、お姉様がここに居るのよ! どうしてお姉様がお爺様に大事にされているのよ!」

私がそう叫ぶと、岩本が無表情で言う。

「先ほどから何が勘違いをされているかと思いますが」

そう言われて私は岩本を見上げて聞く。

「勘違い? 一体、何の話?」

岩本は私と翔太を制しながら言う。

「先ほどの方は一ノ瀬家とは全くの無関係です」

(全くの無関係?)

言っている意味が分からなくて私は少し笑って言う。

「だってどこからどう見てもお姉様だったじゃない! あの女は一ノ瀬美緒でしょう?」

そう言うと岩本は少し笑い、そして言う。

「私から申し上げる事は出来ませんが」

そう前置きをして言う。

「
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  • 灰になった令嬢は宿敵の腕の中で牙を剥く   153話 入場

    ホールにアナウンスが響く。「ご歓談中の皆さま、お待たせいたしました」そうアナウンスが流れると、歓談の為に立ち上がっていた人たちが席に着席を始める。座っていない人も居て、その人たちは円卓の外側に立っている。「お母様、立ち見の人たちも居るの?」そう聞くとお母様がその人たちをパッと見て言う。「円卓が必要無い人たちも居るのでしょうね、関係者だとかそういう人たちよ」お母様にそう教えられて、私はその人たちを見る。(何だ……席が無いから私よりも下の人間だと思ったのに)そう思いながら並べられている円卓の数々を見る。錚々たる面々が着席している。政財界の大物、不動産業界の大物、金融界の大物……そして芸能界で活躍している人も来ている。その人たちは私たちが座っている席からは遠く離れているけれど。扉が開いて、見た事のある人物二人が入って来る。七倉のお爺様と、あの日、七倉のお爺様のお屋敷で見た美男子。二人は互いに微笑み合いながら会場の上座へ歩いて行く。途中で何人もの人間から挨拶をされながら。「七倉のお爺様……」お父様がそう呟く。私は不意に気になってお母様を見る。お母様はその瞳を七倉のお爺様へ向けている。その瞳には何か強いものを感じるけれど、それが何なのか、私には分からない。二人が着席すると同時に会場の照明が少しずつ落ちる。「本日のレセプションパーティー主催者、九条征哉様、並びに九条夫人である美織様のご入場です」そうアナウンスが流れる。(待って、九条夫人って言った!?)私は会場が真っ暗になり、入り口にスポットライトが当たる。入り口が開く。まばゆい光の中に二人が立っている。漆黒の上品なスーツ姿の九条征哉と、白いドレスに無数の金色のスワロフスキーが輝くドレスを着たあの女が九条征哉と共にスポットライトの中に居た。「九条夫人……」お母様も小さな声でそう呟いている。一緒に居るだけで、結婚までしているだなんて聞いていなかった。それでも。光の中に居るあの女を見る。(相変わらず、貧相な体つきね)私はそう思い、自分の深紅のドレスを見る。豊満な体を包んでいる深紅のドレスは、会場を見渡しても誰も同じような色のドレスを着ている女性は居ない。そしてこんな豊満な体つきの女性も私以外に居ない。この体を駆使すれば、天下の九条征哉だって落とせる筈だと思った。二人が中央

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  • 灰になった令嬢は宿敵の腕の中で牙を剥く   5話 業火と未練

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